世界の仲間と協働する練習をしましょう!

2020.08.24

こんにちは!

STEAM教育担当の今井朝子です。

新型コロナウィルスの拡散を阻止するために、様々なものの自動化と遠隔化が急速に進んでいます。現在の高校生が社会に出るころには、想像できないような新しい仕事が出現していることでしょう。子供たちは、こうした予測不可能な新しい社会で自分の道を切り開くことになるのです。そのため本校のSTEAM教育では、新しい社会で力強く成長できる生徒を育てるために、国内外の最先端の情報をもとに授業をデザインし、生徒・企業・NPO・大学生からフィードバックを得ながら常に改善しています。

批判的に考える力/創造する力/協力する力/会話をする力/情報を使いこなす力/技術を使いこなす力/柔軟性

これからの社会では上記のような能力が必要であろうと言われていますが、日本の子供たちにとっては特に習得することが難しい内容だと思います。その理由は、多様な国の人々と交流する機会が少なく、異なる価値観を持つ人と一緒に行動する機会が少ないことが多いからです。私はアメリカの小学校・大学・ベンチャー企業を経験したのですが、異なる文化の人々と活動する中で、協働の方法、わかりやすい説明の方法、新しい考え方などを学んできました。日本にはこうした機会がとても少ないと思います。

そこで本校では、少しでも生徒に国際的な感覚を身に着けてもらうために、TEDが提供するプレゼンテーションのプログラムをSTEAM授業の中で実施しています。TEDは1984年にアメリカで誕生した非営利団体で、「Ideas worth spreading(広げる価値があるアイディア)」を世界に広げる活動をしており、日本ではNHKの「スーパープレゼンテーション」で紹介されて知られるようになりました。TEDは国際的なコミュニティーで、世界を知りたいと思う好奇心を持つ人であれば、どのような文化や分野の人でも歓迎しています。本校もこの理念に賛同し、教育プログラムの中に取り入れています。 

TED-Ed-Clubs_Circle_RGB
世界の子供たちが参加しているTEDEdClubのマーク

 

生徒たちの力は、大人の想像を超えます。STEAM授業で生徒が探求しているテーマは「アルツハイマー病と向き合うには?日本にはなぜ八百万の神の考え方があるのか?差別をなくすには?なぜゲームは続けられるのか?」など多岐にわたっています。各生徒は、自分が選んだテーマの先生としてプレゼンテーションをするため、わかりやすく説明しないとクラスメートも教員も理解できません。クラスメートからフィードバックをもらいながら、自分の説明方法を改善するのですが、もともと自分の中にあったアイディアを、他人のフィードバックで改善する作業は、自分の思考過程の見直しにもなるようです。生徒たちが何を世界に発信するのか、とても楽しみです。

この記事を書いたメンバー
今井 朝子
今井 朝子
(株)日立製作所にて研究開発に従事した後、アメリカの企業にて東京大学とイリノイ大学とのVRの国際研究プロジェクトに参加し、アプリケーション開発に従事。その後ユーザビリティーやフィールド調査に関するフリーランサーとして多数企業の新規事業提案等に携わる。現在、総務省情報通信審議会専門委員、OECD SSES National Project Manager、Salzburg Global Seminar Fellow、群馬県非認知教育専門家委員会委員、SEL Japan 運営メンバー、SEE Learning Japan運営メンバーを兼務。

<経歴>
・慶應義塾大学理工学部卒業
・慶應義塾大学大学院理工学研究科物理学専攻 修士課程修了
・イリノイ大学コンピュータサイエンス科 修士課程修了
・東京大学大学院工学系研究科先端学際工学専攻博士課程修了